サイエンス・アスレチック

 

◆科学の知識で手に入るもの

 物体は、「原子」という粒があつまって構成されています。たとえばヘリウムガスのように、原子単独で構成されている物もありますが、多くの物は、原子が複数結びついた「分子」によって構成されています。この原子・分子の性質、そして、これらに作用する「力」を理解して応用することで、電気を生み出したり、食物を効率的に生産したり、医薬品を合成したり、爆発物を活用したりすることが可能になります。この勉強会では、まさに、科学を使いこなしてどのように電気・食物・医薬品・爆発物を作り出すか、ということを考えていきます。まずは序論として、原子と電気の関わり、そして、電気の作り方について考えてみましょう。

 

◆物質から電気を取り出す

 原子は、正電荷の陽子と負電荷の電子が結びついてできていますが、原子によっては、電子が陽子よりも少ない状態(正電荷の状態)で安定な原子や、電子が陽子よりも多い状態(負電荷の状態)で安定な原子があります。例えば金属や水素原子は、電子を放出して陽イオン(正に帯電した物質)になりやすく、反対に、酸素原子や塩素原子は、電子を受け取って陰イオン(負に帯電した物質)になりやすいです。このように、分子・原子ごとに安定な電気的状態が異なるため、これらの原子は、互いに安定な状態になるべく電子のやりとりをします。電子のやりとりは多くの化学反応に関わる重要な仕組みで、電子を奪う物質を酸化剤、電子を渡す物質を還元剤といいます。金属にくっついて金属の電子を奪う酸素は典型的な酸化剤で、このような電子の奪い合いを酸化還元反応といいます。
 さて、電子を放出する金属といえども、金属の種類によって電子の放出しやすさは異なります。これはイオン化傾向と呼ばれており、ナトリウム、アルミニウム、亜鉛などの金属は電子を放出しやすく、銅・銀・金といった金属は電子を放出しにくいのです。さて、様々な成分が溶けており、電気を良く通すレモンを半分に切って銅板と亜鉛板を差し込み、電子を通す線(たとえば銅線)で板同士をつなぐと何が起こるでしょうか?そう、亜鉛板が水に溶け出して電子を放出し、電子が銅線を通って銅板方向に流れ、銅板付近で水や塩素が電子を受け取ります。この電子の流れが「電流」であり、銅板・アルミ板・銅線・食塩水が「電池」です。実際には、「電流」は、正極から負極への正電荷の流れと決まっているので、電子の移動方向とは反対側に電流が生じていると考えられます。この場合、銅板が正極、アルミ板が負極となります。

 

◆電気で物質を取り出す

 電気は、照明や動力源として利用できるだけでなく、身近な物質から有用な物質を取り出すためにも活用できます。例えば、塩化ナトリウム水溶液に二本の炭素電極を介して電流を流すと、陰極では水素イオンが電子を受け取って水素ガスが発生し、陽極では塩化物イオンが電子を放出して塩素ガスとなります。このように、電気をつかって物質を分解すると(電気分解)、天然ではほとんど存在していない塩素ガスのような物質を入手することができます。強力な酸である塩酸をつくり出したり、単純な分子の化学構造を変化させて医薬品等の複雑な物質を生み出すための一工夫として利用されたりと、様々な使い方がされます。これらの用途についても、この勉強会で扱うテーマとなります。

◆食料を確保する
◆電気をつくり、蓄える
◆酸・アルカリの化学
◆塩基(アルカリ)の入手と石鹸の製造
◆酸の入手と火薬の製造
◆鉄を手に入れ、加工する
◆薬をつくる