電気を使うというと、最も身近なものでは電池を思い浮かべるかもしれません。しかし、電池は物質が安定な状態に変化しようとする際に生じるエネルギー差を利用して電気を「取り出す」ものですので、本当の意味で「電気をつくる」こととは少し異なります。ここでは化学反応を利用せずに電気を生み出す「発電」、そして、その電気を蓄える「充電池」について学びましょう。
電気の仕組みを利用すると、物体の運動から電気を生み出すことができます。最も原始的には、手回しの発電機を作れますし、家畜の力を活用することや、水力・風力といった自然の力を電気に変えることも、燃料の燃焼で生じる蒸気圧を電気にすることもできます。その電気の仕組みとは、「電磁誘導」と呼ばれるものです。
銅線に電気を流すと、電流の目線で見たときの反時計回りに磁界が生じます。反対に、銅線の近くで磁石を動かすと、磁界の変化に応じて電流が生じます。つまり、磁石を動かすこと、これが発電機の基本的な仕組みです。簡単な方法は、筒の外側に銅線を何重にも巻き付けて、筒の中で上下に磁石を振ることです。この筒を水車・風車に巻き付ければ、水力・風力を使って発電できますし、燃料を燃やしてできる蒸気の力でタービンを回して発電することもできます。
レモン電池に対して人工的に反対向きの電気を与えると、亜鉛板周辺では亜鉛イオンではなく水素イオンが電子を受け取り、水素ガスとなってしまうため、放電の逆反応は起きず、充電することはできません。では、充電可能な電池(充電池・二次電池)はどのようにつくれば良いでしょうか?これを解決した電池の一つが、鉛蓄電池です。鉛蓄電池は、ボルタ電池と同じく、電極を浸す水溶液として硫酸水溶液を使用していますが、電極としては、鉛板と酸化鉛板を使用しています。鉛板は電子を放出して鉛イオン(Pb2+)となりますが、すぐに水溶液中の硫酸イオンと結合して、鉛板上に硫酸鉛が析出します。また、電子を受け取った酸化鉛板では、二酸化鉛が鉛イオン(Pb2+)となり、硫酸イオンと結合して硫酸鉛が析出します。
この鉛蓄電池に対して、自然に放出されるのとは逆向きに電気(電子)を流し込むと何が起こるでしょうか。まず、電子を送り込まれた陰極では、電子の受け取り手が必要です。放電後(=充電前)の鉛蓄電池では、両極の鉛板上に硫酸鉛が析出していることに着目しましょう。硫酸鉛は、Pb2+が二つの電子を受け取り、鉛に戻ることができるので、陰極では硫酸鉛が電子を受け取り、鉛に変化します。反対に、陽極では電子を放出する必要がありますが、鉛は硫酸鉛のような2価の状態よりも、酸化鉛のような4価の状態の方が安定なため、硫酸鉛が電子を放出しつつ水の酸素原子と結合して、酸化鉛となります。このように、鉛蓄電池では、放電時とは逆向きの電流を流すと、充電時とは正反対の化学反応が起こり、放電前の状態に戻る、つまり充電することができるのです。このような性質を活用して、鉛蓄電池は、自動車のバッテリー等として活用されています。