トップへ戻る

◆鉄を手に入れ、加工する

 鉄は「産業の米」と言われていたこともあるほど産業に重要な物質で、多くの機械類の製造に使用されています。ここでは鉄の入手方法・加工方法について学びましょう。

 

◆鉄の精錬

 鉄は自然界では鉄鉱石として存在しています。天然物から鉄を得るためには、当然この鉄鉱石を用いるのですが、鉄鉱石の鉄は酸素と結合した酸化鉄で、さらに、鉄鉱石は二酸化ケイ素等の不純物も含んでいます。そこで、鉄鉱石中の酸化鉄から酸素を引き離す(つまり還元する)ためには、還元剤を加えることが必要です。還元剤として最も身近な物質は、木炭を不完全燃焼した際に生じる一酸化炭素です。さらに、鉄鉱石に不純物として含まれる二酸化ケイ素は、炭酸カルシウム等の融剤を混合すると融解しやすくなります。そこで、鉄鉱石と、石炭と、石灰岩(炭酸カルシウム)とを混合して巨大な筒状の容器に詰め、熱を送り込むと、石炭から発生した一酸化炭素が鉄鉱石から酸素を奪いつつ、二酸化ケイ素及び炭酸カルシウムを溶融・溶出させることができます。鉄も融解して溶出しますが、両者は液体では溶け合わず、二酸化ケイ素の液体は鉄の上に浮かんで層を形成するため、純粋な鉄を得ることができるのです。

 

◆鉄の溶接・切断

 鉄は熱によって融解・軟化する性質があるため、加熱しながら力を加えることで変形させることが可能です。しかし、鉄材同士を強固に結合させたり(溶接)、鉄剤の一部を切り出すためには、非常に高温の熱を与える必要があります。このような方法としては、電気の力を用いるアーク放電と、化学の力を用いるアセチレン燃焼があります。
 アーク放電とは、電位差の大きな正極と負極との間で生じる放電で、非常に高温の発熱をともないます。電極としては、炭素電極がよく用いられます。一方、アセチレンは2つの炭素原子間に三重結合を有する極めて不安定な化合物です。燃焼時に大きなエネルギーを放出するので、酸素と混合することで溶接機のガスとして使えます。アセチレンは自然界にはほとんど存在しませんが、生石灰を木炭とともに加熱すると生成する炭化カルシウム(カーバイド)を水に加えることで、気体として手に入ります。炭化カルシウムの生成には非常に高温が必要なため、加熱手段としては前述のアーク放電を活用すると効率良く合成できます。