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食料を確保する

 ヒトは摂食によって、生命の維持に必要な栄養分を補給しています。食物には動物性のものも植物性のものもありますが、食物連鎖を考えると、効率的な植物(作物)の栽培無しに人間の生活を維持することは難しいといえます。ここでは、効率的に植物(作物)を育てる方法、つまり農業について考えましょう。

 

◆農業

 植物は光合成によって二酸化炭素及び水から糖を合成し、炭素、水素及び酸素からなる様々な化合物へと変換しています。しかし、これら3種類以外の元素は土壌から吸収する必要があり、その代表例が窒素です。植物は窒素を主に硝酸イオンの形で取り込んでいますが、土壌の硝酸イオンを絶やさないようにするためには、いくつかの工夫を施す必要があります。
 第一に、作物が土壌から吸い上げた養分を、堆肥として土壌に返すことです。具体的には、作物を摂取したヒトの排泄物を、堆肥として土壌に戻すことが有効です。ここで注意すべきは、ヒトの糞便には、ヒトに食中毒を引き起こす雑菌が存在し得るということです。したがって、堆肥にヒトの糞便を使用する際は、土壌にヒトの雑菌をばら撒くことの無いように殺菌することが必要になります。糞便をおがくず(木屑)等と混ぜて寝かせ、定期的にかき混ぜて酸素を補充して発酵を進めると、発熱により雑菌が死滅して堆肥となります。他方、尿は無菌であるため、水で希釈して散布すればそのまま肥料として活用できます。これらの方法で窒素を循環させることにより、土壌から失われる窒素を最低限に留めることができるのです。
 堆肥の活用は、土壌の窒素消費を遅らせることはできますが、再利用しきれずリサイクルの輪廻から漏れる窒素もるため、土壌は徐々に消耗していきます。そこで、ある種の植物の能力を活用することで、土壌の窒素成分を補うことが可能です。それは、大豆を始めとするマメ科の植物の「窒素固定」作用です。マメ科の植物は、根に根粒菌と呼ばれる細菌を共生させており、大気中の窒素から硝酸を合成することができます。したがって、硝酸イオンの消費が激しい穀類等の栽培と交互にマメ科植物を栽培し、そのまま土壌にすき込むことで、土壌の硝酸塩を回復させることができるのです。また、マメ科の植物であるクローバー及び大豆等は、家畜の飼料としても有益です。クローバー等を家畜に与えた上で、その排泄物を堆肥として土壌に返すと、家畜を飼育しながら土壌を活性化することができ、食事のバラエティが豊富になります。
 しかし、マメ科植物の窒素固定で賄える食料生産量には限りがあります。これ以上の人口を支えるためには、外部から窒素を補給する、つまり化学肥料を使用するという第三の方法が必要となります。植物の取り込みに適した窒素は硝酸イオンですので、硝酸カリウム等の物質が化学肥料として使用されています。

 

◆木炭

 植物は、食物になるだけでなく、燃料や素材としても利用可能です。素材としての活用については、今後紹介することになりますので、ここでは燃料としての活用について考えましょう。 現在、地球はエネルギーの多くを石油・石炭等の化石燃料でまかなっていますが、埋蔵量が有限である以上、これらの燃料がいつまで使用できるかは分かりません。木炭は、化石燃料に変わって重要な燃料となり得ます。木炭は植物から作られますが、植物を乾燥させて、単に火をつけると水と二酸化炭素になり、木炭のような固形物は残りません。ポイントとなるのは、主に炭素・水素・酸素で構成される植物から、炭素を残しつつ他の成分を燃やすことです。このためには、酸素の量を制限しながら、不完全燃焼させることが必要です。こうして得られた木炭は、主に炭素から構成されています。